大谷翔平はいうまでもなく当代随一のスーパースターである。しかし、本書のタイトルを初めて目にしたときに「大谷翔平世代」という言葉にちょっとした引っかかりを感じたのは、これが「松坂(大輔)世代」ほど浸透してはいないためだろう。
本書『さよなら、天才 大谷翔平世代の今』(中村計/文藝春秋)は「かつて大谷翔平よりも“天才”といわれた」同い年の選手に取材したものである。取材対象の筆頭は藤浪晋太郎。著者はプロローグで次のように語る。
引用----
“大谷は今や異世界の人類かと思えるほどの成績を残し続け、世界レベルで野球の歴史を塗り替え続けている。ただし、高校3年の時点で世代の頂点にいたのは春夏と連続で全国制覇を成し遂げた大阪桐蔭のエース、藤浪の方だった。
その頃、「藤浪世代」や、「藤浪・大谷世代」という言葉はあっても「大谷世代」という呼び方はまだ存在しなかった。”