お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さんと、大人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんの2人が織りなす創作の世界——『その本は』(ポプラ社)の第2弾となる共著『本でした』(同)がこの夏に刊行。9月21日には、科学技術館サイエンスホールでトークイベントが開催された。制作秘話はもちろん、2人が大喜利に挑戦するというライブ感あふれるコーナー(※後編)もあり、大盛況となったイベントの模様をレポートする。
見送ったお題で「続きを考えてみて」
芸人兼小説家と絵本作家、活躍の場は若干異なるけれど“本が好き”という共通点を持つ2人。ステージではまず、2人が出会って本を作るまでのいきさつや、『本でした』の制作秘話が語られた。
2人が出会ったのは、「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」の会場だったとか。又吉さんはアンバサダーとして、ヨシタケさんは受賞作家としての参加。楽屋裏で「受賞した先生方全員に挨拶をしたい」と願い出た又吉さんは、ヨシタケさんと会い、「姪っ子がファンで、ヨシタケさんの絵本をほぼ全部持っている」と告白にも似た報告をしたそうだ。その場にはポプラ社の編集者も同席しており、共著の話が持ち上がった。
「本にまつわる本」の第1弾として刊行されたのが、2022年の『その本は』。本が好きな王様のために旅に出て、“めずらしい本”の話を持ち帰って夜ごと語り出す——という創作集だった。このたび発売された『本でした』は、そのコラボ第2弾として刊行。ただし、「続編では面白くない」というヨシタケさんの考えから、2人がお互いにお題を出し合い、そのアンサーとなる創作をするという“往復書簡”のような方式になったという。