
『アタックNo.1』や『ベルサイユのばら』など数々の傑作を生み出した『週刊マーガレット』と、名だたる作家の読み切り作品を中心にその才能を引き出してきた『別冊マーガレット』。1963年に刊行された2誌とおぼしきマンガ編集部を舞台に、いかに「少女たちの時代」は切り開かれていったのかを描き出すのが、大島真寿美さんの小説『うまれたての星』(集英社)である。
主人公は、辰巳牧子。1969年、人類が月面着陸を果たした年に、経理補助として「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部で働き始めたばかり。高校を卒業したての世間知らずで、かつ、少女マンガの主人公のように夢見がちな女性である。おじさんだらけの編集部で少女マンガがつくられていることに驚き、名前を覚えてもらえない自分はまるで女中だと思いながらも、末端に加われたことを誇らしく思っている。