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ホストと社畜 河尻みつる/双葉社


あなたには、特に約束をしなくても毎日会って話ができる友達がいるだろうか。仕事仲間や家族でない限り、「約束しなくても毎日のように会って話す」人がいるというのは、そう多くはないだろう。子どもの頃は公園に行けば知っている友達が何人かいたかもしれないが、いつでも簡単に連絡が取れるようになったこの時代、大人同士が「約束をしなくても会える」というのはもはや奇跡に近い。


そもそも、年齢や生活スタイルの違う人同士が話すきっかけをつくること自体が難しく、大人になればなるほど人とのつながりを保つことは難しくなる。それでも、仕事仲間にも家族にもカテゴライズされない“程よい距離”の存在がいたらいいなと思うことはないだろうか。毎日ここに行けば会えて、社会的な立場や肩書きに関係なく話ができる友達。本書を読むと、そんな関係がうらやましくてたまらなくなる。『ホストと社畜』(河尻みつる/双葉社)は、まさにその“程よい距離”が際立つ作品だ。


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