
『ハルコの恋 55歳の私が35歳年下のアイドルを好きになったらダメですか?』(久保マシン/KADOKAWA)は、推しを見つけたことで人生が輝き出した女性の物語。特に推しがいる人は深く共感できる作品だろう。
主人公のハルコは55歳の独身女性。親の離婚、母の病、介護、高校中退.....彼女は自分を犠牲にして生きてきたためおしゃれや恋などを楽しむ暇がなく、スーパーでパートをしながらこれまで淡々と生きてきた。そんなある日、たまたまテレビで見た20歳の男性アイドル・愛賀光(あいがひかる)に一目惚れし、ハルコの世界は一変する。
推しができたことで、雑誌を買ったりイベントに行ったりと外出の機会が増え、さらに料理やおしゃれもするように。職場での人間関係も広がった。誰かを好きになるという気持ちが灰色だった彼女の毎日に彩りを与え、もはや失ったと思われた青春を謳歌する感情を呼び覚ます。彼女が内側から明るく変わっていく様子はとても眩しく、エールを送りたくなるはずだ。