
『こたつから出てきた汗だくの女 親戚の娘に夫を寝取られました』(つかさき有:著、サレ妻ユズキ:原作/KADOKAWA)は、何の前触れもなく夫の裏切りに直面した妻の心情と葛藤を描いたコミック。タイトルの通り、ショッキングな状況に置かれた主人公である妻の怒りや悲しみが詳細に描かれている。
主人公・ユズキは、職場で出会った夫とふたりで平穏な日々を送っていた。しかしある日、体調不良で早退して帰宅すると、家の中に脱ぎ捨てられた女もののワンピースを発見。そばで慌てて服を着ている夫の姿に驚いたユズキは、浮気を疑い家中を捜索する。すると、こたつの中から汗だくの裸の女性が現れる――。
本作の見どころは、夫婦間の信頼関係の揺らぎやそれに伴う人間心理が、女性の視点から丁寧に描かれている点だ。ユズキの夫は、悪意こそないものの、優しさがすべて裏目に出る優柔不断な男性である。曖昧な行動や要領を得ない言い訳のひとつひとつが、妻にどれほどの不安と疑念をもたらすことか。彼の優しさがかえって状況を悪化させる皮肉さに、思わず「こういう人、いるいる!」と膝を打つ読者も多いだろう。