ダ・ヴィンチWeb


『ほかの子と、ほかの親と、比べてしまう自分をやめたい』(むぴー/KADOKAWA)。このタイトルを聞いて、思わずドキッとした人は多いのではないだろうか。本作は子育てに向き合う母親が抱える悩みを等身大で描いた作品である。


子育て世代が多いベッドタウン・あさひが丘に暮らす3人の母親たち。2歳の息子を育てるワーキングマザーのちさとは、子どもの発育に不安を抱える。専業主婦のみさは、社会とのつながりの薄さに焦りを感じる。フリーランスで働くゆかりは、内向的な性格ゆえにママ友の輪に入れず悩む。三者三様の環境と心の葛藤が描かれていく。


エピソードはどれも身近で、読者の胸に刺さる。外出先で同じ年頃の子と比べてしまい、何かにつけて「自分の子は遅れているのでは」と落ち込む。小さい頃からいい子でいようと努力してきた結果、自分のやりたいことがわからなくなる。よくできる姉と比べてばかりで劣等感を抱く。そんな場面のひとつひとつは、自分事ごとのように苦しくなる人は多いはずだ。


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