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となりの陰謀論 烏谷昌幸/講談社


陰謀論と聞いて、みなさんはどういう印象を持つだろうか。「一部の変わり者が信じている突拍子もない作り話」だと思っていないだろうか?


だが『となりの陰謀論』(烏谷昌幸/講談社)で語られているのは、ただのトンデモ話ではない。本書は昨今の陰謀論の危うさについて言及し、「誰もが陰謀論と無縁ではなく」、だからこそ「陰謀論と正しく向き合う方法を考えるための本」である。


そもそも陰謀論とは何か。「出来事の原因を誰かの陰謀であると不確かな根拠をもとに決めつける考え方」だと社会学を専門とする著者は定義する。


著者いわく、インターネットが普及する前の陰謀論は、世間に広まるルートも少なく(オカルト雑誌や深夜ラジオ等のみ)、拡散のスピードも緩やかだった。また何か大きな事件があり、それについての陰謀論が徐々に広がるというものであった(例えば「9.11同時多発テロはアメリカ政府の自作自演」、「東日本大震災は人工地震」といった説である)。


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