
「あの子と過ごせれば、退屈なんてしっこない、ぜったいに」――そう思える友だちがひとりでもいれば、学校生活は最高だ。学校生活に悩みは尽きない。みんなと自分の意見が違ってしまったり、クラスになじめず浮いているような気がしたり。だけれども、我が子には、この本に登場する女子ふたりのように、たとえ周りから“へん”と思われても、自分の好きなものを追求して強くしなやかに生きてほしい。無理に周りに合わせる必要なんてない。友人関係をはじめ、人との関わり合いであれこれ悩んでしまう思春期の入り口にいる子どもたちにこの本を贈りたい。
そう思わされた本とは、主婦の友社が立ち上げた子どものためのミステリ小説レーベル「ミステリ図書室」の中の1冊『友だちは名探偵』(加藤元/主婦の友社)。『山姫抄』(講談社文庫)や『本日はどうされました?』(集英社文庫)など、不器用だけど精一杯生きる人を温かく描いた作品で知られる加藤元氏によるこの本は、読めば、子どもにも大人にも、「友だち」という存在の素晴らしさを感じさせてくれる。