
パートナーに浮気された側を「サレ妻」、浮気をした側を「シタ妻」と呼ぶ言葉がSNSを中心に広まっている。だがその言葉の裏には、誰にも気づかれない孤独やすり減っていく心が隠れている。
そんな現代の結婚観に真正面から向き合った作品が『お宅の夫をもらえませんか?』(みこまる:作画、いくたはな:原作/KADOKAWA)だ。ごく普通の主婦がママ友の夫と関係を持ってしまう。身近でリアリティのあるテーマを通して、家庭の中に潜む心の揺れを描いたヒューマンドラマである。
主人公・なな子は、高校時代からの恋人と結婚し、彼の実家で暮らし始める。だが、理想とは違い、待っていたのは義母の厳しい言葉や無関心な夫、そしてワンオペ育児の日々だった。「こんなはずじゃなかった」と思いながらも、なな子は家事と農作業に追われる毎日を送っていた。そんな中、少しでも自分の時間を持ちたいと始めたパート先のスーパーで、ママ友の夫・忍と出会う。久しぶりに「自分を見てくれる誰か」に出会ったことで、なな子の心は静かに揺れ始め、やがて越えてはいけない一線を越えてしまう。