
「不倫」と聞くと、多くの人が特別な出来事と思うかもしれない。けれど、もしそれがあなたのすぐ隣にある日常の延長線にあったとしたら。
『恋するママ友たち 私以外も不倫してた』(吉田いらこ/KADOKAWA)は、3人のママ友が、それぞれの事情を抱えながら禁断の恋に踏み出していく姿を描いた物語。
登場するのは、パート勤務の早紀、専業主婦の美穂、派遣社員の麻衣。子どもが幼稚園の頃からの仲で、どこにでもいるごく普通のママたちだ。彼女たちはかつて「不倫なんてドラマの中の話」と笑い合っていた。だがそれぞれの心には誰にも言えない孤独と疲れが溜まっていた。
仕事と育児の両立に悩み、つい子どもにきつく当たってしまう早紀。モラハラ夫に心をすり減らし、諦めの境地にいる美穂。子どもの不登校に苦しみ、自分を責める麻衣。誰もが不幸ではないけれど幸せでもない現実の中で、ふとした優しさに救われてしまう。「恋に落ちた」というよりも心の隙間を「埋められてしまった」のだ。