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第7回「一週間マクドナルドを食べ続けて悪夢を見る 前編」/酒飲み独身女劇場 ハッピーエンドはまだ来ない⑦

2024年4月19日

  • 気持ちのいい夜風が、手に握りしめているマクドナルドの紙袋の独特な香りを運んでくる。 そっと深呼吸するたびに、甘えたような声でお腹が鳴る。


    私がぱっと思いつく一番好きな食べ物はマクドナルドのビッグマックだ。


    大人になって、どんなに絶品といわれる料理を食べても、予約がとれないお店に行ってもビッグマックを超えることができない。


    いつからか、ビッグマックは他の食べ物とは比較できない神のような存在になっていた。 天空の花嫁になっていたのだ。


    夜空に煌めく星たちは、これからの晩酌を明るく照らしてくれている。 心地のいい夜風は早く冷めないうちにお帰りと背中を押してくれる。


    日曜日の夜は好きなものを食べると決めている。


    私は店内でそのまますぐに食べるより、家に持ち帰って食べたい派。 台所に並べてあるウイスキーを今日の気分に合わせて選び、持ち帰ったコーラに混ぜてコークハイの完成。 しゅわしゅわと強めの炭酸が喉を刺激し、生きていると強く実感できる。 この瞬間を味わえるのは、テイクアウトの特権だ。

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