※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年12月号からの転載です。

上白石さんは、両親に『あさ/朝』と『ゆう/夕』を買ってもらった小学5年のときから、谷川さんの詩に惹かれ続けている。 幼いながら、言葉の持つパワーと美しさに心打たれたのだ。上白石さんの書棚に並ぶ数々の谷川さんの詩やエッセイの中でも、『谷川俊太郎質問箱』は、友人・知人に度々プレゼントしたと言う。
「私も18歳の頃、友だちにこの本を薦められて。漠然と悩んでいるとき、この中に答えがないかなってページをめくるのが好きなんです」
印象的なのは、スチャダラパーのボーズさんの「心配することは、はたして必要なのか」という質問。
「谷川さんは、人間は過去と未来についてしか心配できないと回答されて。生きている今しかないキリンは、心配しないんじゃないかと。谷川さんらしい、視野の広い答えですよね。自分では絶対に辿り着けない思考に連れていってくれます。自分の悩みが小さく思えて、楽になりました」