ダ・ヴィンチWeb


競馬の世界を舞台に、馬に希望を託し夢を追い続ける人々の20年にわたる壮大なストーリーを描いた『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)。


「ダ・ヴィンチWeb」では、実写ドラマ(日曜劇場・TBS系毎週日曜よる9時)の放送を記念して原作者・早見和真さんへのインタビューを実施、前後編でその様子をお届けする。後編では、物語を進める視点や「馬主」という存在、そして今回のドラマ化に期待することについてお話を伺った。



主人公・栗須と追体験していく物語


――本作は、物語が三人称視点でも馬主視点でもなくレーシングマネージャーである栗須の一人称視点で進む点が特徴的です。視点の取り方にはどんな狙いがありましたか?


早見和真さん(以下、早見):まず、小説を読む層の中に競馬ファンなんて1%くらいしかいないだろうと。最初から競馬が何たるかということを知らない方たちが相手だったんですよね。これを馬主や調教師やジョッキー視点で始めてしまうと、「お前そんなこと説明しないだろ」ってことばかりになってしまう。そこで、競馬をまったく知らない栗須というキャラクターを通じて、読者にも一緒にその世界に入ってきてもらおうと。レーシングマネージャーを主人公にするというアイディアも多分書くことが決まったその日のうちに到達していると思います。


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