
友達になるきっかけは、共通の趣味を持っていることや物事の見方が似ていることを知ったときなどが多いと思うが、逆に、自分は持っていない考え方や生き方に魅力を感じ、その人のようになりたくて付き合いが始まることもあるだろう。
『思ってたのと違うあの子の話』(かいばしら/KADOKAWA)は、高校2年生のひなたが、新学期の新しいクラスで友達を探すところから物語が始まる。早速、隣の席の可愛らしく大人しそうな女子生徒・ゆづきに声を掛け、休日に遊ぶ約束をするが、当日に現れたのは教室での雰囲気とは全く違うロックなファッションに身を包んだ彼女だった。ひなたは面食らうも、周りに合わせがちな自分とは違う、自身のスタイルを持ったゆづきに憧れを抱くようになっていく。
一方のゆづきは、誰とでも仲良くできるひなたとは逆に、周りに合わせることができないことにコンプレックスを抱いていた。クラスメイトたちがだんだん仲良くなっていくなかで、ひなたに頼りっきりになっていると気づいた矢先、ひなたの友達から「変わっている子」という心無い言葉を掛けられ、さらにその言葉を否定しなかった(というよりできなかった)ひなたに対してショックを受け、学校を休んでしまう。