
お寺の物語と聞くと、古臭くてちょっと取っ付きにくく感じるかもしれない。それは、お墓があって気軽に立ち寄るような場所ではないという意識と、そして実際にどんなことが行われている場所なのかをよく知らないからだ。そんな認識を大いに覆し、しかも笑いを届けてくれるのが『極楽寺ひねもす日記』(宮本福助/KADOKAWA)だ。
主人公・仁海は、代々続くお寺「極楽寺」の副住職。ある朝、住職の父親が「夢追い人になる」と書き置きを残して突然失踪。やむを得ず、初めてのひとり仕事の葬儀をなんとかこなしてお寺に帰ると、今度は夫を探すとの書き置きを残して母親もいなくなっていた。噂はすぐに広がりお寺の存続に不安を感じて集まった檀家さんたちをなんとかおさめるものの、過酷なワンオペお寺経営の過酷さに不安を感じていた。するとそこに、同級生で檀家の総大長の娘・千笑と、叔父・宗徳が現れてお寺を手伝ってくれることになるのだが、どちらも根っからの自由人だった――。