
『地獄の三十路録』(結木万紀子/KADOKAWA)は、バリキャリで男嫌いのアラサー処女が、自分とは真逆に生きるあざとい女友達からの一言をきっかけに、恋愛を模索し人生を見つめ直す葛藤劇だ。
一流私大卒業後、大手企業でバリバリ働く椚木泉。学生時代から恋愛に価値を見出せず、仕事一筋に生きてきた彼女は、ある日、合コンで大学時代の同級生・八熊ありさと再会する。地味な自分とは真逆のゆるふわ女子で、男にも女にも好かれる彼女からの「まだ処女なの?」という一言が、頑なだった泉の心を大きく揺さぶる。恋愛もセックスも必要ないと思っていたはずの彼女が、三十路を迎えいまだ処女という自分のあり方を問い直していく。
勉強も仕事も自力で乗り越えてきた泉に恋愛の手ほどきをしてくれるのが、容姿とあざとさを武器にイージーモードの人生を歩んできた、ありさだった……。この皮肉な構図が、物語を動かす起点として大きな意味を持つ。内心苦手で嫌いだった女友達に強引に導かれながら、「女であること」へのこだわりや「選ばれないこと」の痛みがあぶり出され、プライドの殻を少しずつ脱いでいく泉に注目してほしい。