
年の瀬を感じる日々の先に、年末年始の休暇と箱根駅伝の中継が結びついて連想される人は、きっと多くいることだろう。その中でレースをリードし、すさまじいスピードと輝きを見せつける留学生選手の姿に、注目したことはあるだろうか。
『アフリカから来たランナーたち』(泉秀一/文藝春秋)は、日本の駅伝に出場するアフリカ系の留学生ランナーに焦点をあて、彼らを取り巻く社会構造や出場に至る経緯などを、さまざまな観点から解説した一冊だ。
観点は大きく分けて二つある。一つは、駅伝業界から見たアフリカ系ランナーの存在意義である。彼らは極めて高い身体能力を持ち、所属するチームの勝利に貢献する可能性が高い。それに加えて大会自体の記録を更新したり、日本人選手たちのモチベーション向上のきっかけになったりと、さまざまな良い効果をもたらしてくれる頼もしい存在だ。