
「エス」という言葉をご存じだろうか? 「シスター」の頭文字から取ったとされており、戦前ごろに日本の女学生たちの間で流行した、文字通り姉妹のように特別親密になった少女同士の関係のことだ。『拝啓、在りし日に咲く花たちへ』(五十嵐 純/KADOKAWA)は、図書館の本に挟まれた一通の手紙から始まる、少女たちの青春と友情の物語である。
お嬢様学校に特待生として入学した主人公・かすみは、成績を落とすことができず、また真面目な性格もあって、放課後の図書館での自習を日課にしていた。いつしか勉強の息抜きに気になった本を読むことが楽しみとなっていた彼女はある日、手に取った本に手紙が挟まれていたことに気づく。宛先は「この本を読んだ人」。そして手紙の内容は「本の乙女達のような特別な関係の友になってほしい」というものだった。