
『家事は女の仕事だろ? 共働きなのに何もしない20歳上の夫』(うみこ/KADOKAWA)は、年の差婚で始まった結婚生活が、価値観の相違によって揺らいでいく様子を描いた物語だ。
シングルマザーの家庭で育った主人公・りこは、頼もしさと安心感にひかれて、20歳年上の夫・一郎と結婚する。しかし、互いに働いているにもかかわらず一郎は家のことを何もせず、新婚早々にすれ違いが表面化。さらに亭主関白ぶりがエスカレートしていきモラハラ発言を繰り返す一郎に、りこの頭には「離婚」の2文字がよぎってしまうのだった。
本作の見どころは、夫婦のリアルなやり取りの描写だ。一見優しく包容力のある一郎は、結婚を機に突然態度を変え「家事は君の仕事」と当然のように言い放つ。その言葉に憤りを覚えつつも「私もわがままだったのかも」と自分を納得させようとするりこの姿が痛々しい。だが、彼女もただ黙って耐えるだけではない。自分の気持ちや状況を冷静に見つめ直し、時に怒り、時に諦めかけながらも、夫婦という関係を対等なものにしようと努力と葛藤を重ねていく。