ダ・ヴィンチWeb

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年1月号からの転載です。



心も体も疲れ切った客に“女王”が差し出すのは、滋味にあふれた優しいひと皿。路地裏の夜食カフェ「マカン・マラン」には、今宵も悩める男女が迷い込む――。


古内一絵さんの人気シリーズ「マカン・マラン」は、一風変わったカフェを舞台にした物語。店を切り盛りするのは、元エリート証券マンにして現在は女装姿も麗しいドラァグクイーンのシャール。実は彼女、古内さんのデビュー作『銀色のマーメイド』にも登場している人物だ。


「水泳部を舞台に中学生のジェンダー問題を描いたのですが、難しい年頃の彼らを導く大人を登場させたくて。そこで、男でも女でもない、異世界からやってきたようなシャールが誕生しました」


そんな彼女の人気を受け、古内さんはシャールを主人公にした小説を書くことに。“体に優しい料理を供する夜食カフェ”というアイデアは、古内さんの願望から生まれたという。


「私がかつて働いていた映画会社は残業が多く、会社を出るのは早くても22時。その時間から自炊するのも大変ですし、開いているお店も少ないので、食事を諦めることも多くて。『深夜でも温かくて胃に優しいものを出してくれるお店があったら、どんなにいいだろう』という思いから、陰陽の考え方を食生活に取り入れたマクロビオティックをベースにその人の体質に合った料理を出す『マカン・マラン』が生まれたんです」


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