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日本人と特殊害虫の戦いをまとめた“戦記”。人間の知恵と、生物の存続のための変異の歴史を描く

2024年5月21日

  • 特殊害虫から日本を救え
    『特殊害虫から日本を救え』(宮竹貴久/集英社)

     今年(2024年)3月、サツマイモの害虫「イモゾウムシ」が鹿児島市で見つかった。イモゾウムシの幼虫にかじられたサツマイモはイポメアマロンというとても苦い防御物質を発するために食べられなくなり、家畜のエサにさえならないため市場に出荷できなくなってしまう。


     県本土でイモゾウムシが見つかったのは16年ぶりで、鹿児島県では警戒を強めているという。


    特殊害虫によって食べることができなかった野菜や果物


     我々の“食”が、害虫によって常に脅かされていることに気付かされる一冊が、『特殊害虫から日本を救え』(宮竹貴久/集英社)である。


     30年ほど前の日本では九州より北の地域でニガウリやマンゴーなど亜熱帯の南西諸島で育った野菜や果物は一般に食べることは出来なかった。なぜなら、それまで南西諸島にはウリ類や熱帯果樹の実を貪り食うミカンコミバエやウリミバエといった害虫が蔓延していたため、植物防疫法という法律でミバエの寄主(宿主)となるウリ類やナス類、果実を九州以北に移動させることが出来なかったからだという。

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