
「がんになりました」という言葉は、それだけで重く、読む側も身構えてしまう。けれど『50代おひとり様、5%の希少乳がんになりました』(ナヲコ:著、寺田満雄:監修/KADOKAWA)は、その重さを真正面から引き受けつつ、決して読者を置き去りにしない一冊だ。
健康診断を後回しにしていた未婚アラフィフの漫画家である著者が胸のしこりに気づき、「5%の希少乳がん」と診断されるところから始まる。「がん」と聞くと重大な病気だと思う人は多い。しかし、同じ病気を経験し克服した母親の姿を間近で見てきた著者は、過度に怯えることなく、希望を持って前向きに「がん」と向き合っていく。
本作は「がん患者」になる以前の、著者がそれまで築いてきた生活や価値観も丁寧に説明している。そして手術までの過程や、術後の治療と生活の変化が具体的に描かれている体験記でありながら、治療の知識だけに偏らず、「生活者として病と向き合うとはどういうことか」を実感をもって伝えてくれるのだ。随所で描かれるポジティブな姿勢には驚かされるが、それが読み手にとっても確かな希望として伝わってくるはずだ。