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『コーヒーでめぐる世界史』(増田ユリヤ/ポプラ社)第6回【全7回】


コーヒーの進化は、実は戦争の歴史とも深く結びついていた――。元々はイスラム世界の秘薬だったコーヒーは、オスマン帝国の侵攻によってヨーロッパにもたらされ、社交の場「カフェ」を生んだ。美味しいコーヒーを淹れられることが出世につながった時代もあり、さらには、フランス革命はカフェから始まったという説まで。歴史の転換点をたどると、そこには必ずコーヒーの香りが漂っている。身近なコーヒーをきっかけに、歴史上のさまざまな出来事が一本の線として立ち上がる! 入門書にも、学びなおしにもぴったりな一冊『コーヒーでめぐる世界史』をお楽しみください!


『コーヒーでめぐる世界史』 (増田ユリヤ/ポプラ社)


ナポレオンの大陸封鎖とコーヒー


ドイツで代用コーヒーが発達したもうひとつの理由が、19世紀初頭のナポレオンによる大陸封鎖令です。皇帝ナポレオン1世として即位したナポレオン・ボナパルトは、ヨーロッパの主要国を屈服させ、その過程で神聖ローマ帝国(ドイツ)も解体しました。ベルリンに入ったナポレオンは、ヨーロッパ諸国に対してイギリスとの貿易を禁じる勅令を出しました。大陸封鎖令です。トラファルガーの海戦でイギリスに敗れたナポレオンは、経済の面からイギリスを攻めようと考えたのですね。イギリスからコーヒーを輸入していたドイツでは、コーヒーが手に入らなくなったため、やむをえず代用コーヒーを飲むようになりました。本物のコーヒーが飲めないことがドイツの人々にとっていかにつらいことだったのか。ドイツの経済学者のマルクスは、このような一節を書き残しています。


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