
『長年家族だと思っていた母は知らない人でした 家族を破滅と崩壊へ導いた、母の信仰心』(ジジ&ピンチ:著、えみこ:原作/KADOKAWA)は、そのタイトルが示すとおり、“母”というもっとも近しい存在が、家族の知らない別の顔を抱えていたという痛恨の真実から幕を開ける。
実家へ戻った主人公・翔子は、父から衝撃の告白を受ける。優しく穏やかで、倹約家だと信じて疑わなかった母が、父の退職金2,000万円を使い込み、さらに祖母に1,000万円もの借金をしていた。裏では消費者金融にも手を出し、“健康食品・化粧品販売”という名のマルチ商法にのめり込み、多額の負債を抱えていた母。
「お母さん…あんなにやさしかったのに。今までのは全部うそだったの?」という言葉に、変貌を受け入れられない主人公の心情がよく表れている。母が積み上げてきた“優しい母親像”が音を立てて崩れていく瞬間、そこにあるのは裏切りや怒りだけではない。“なぜこんなことに……”というやるせなさが、静かに心を締めつけていく。