
『「推し」という病』(加山竜司/文藝春秋)は、さまざまな「推し活」をする人々を通じて、「推し」にまつわる精神構造やビジネスの課題、その先にある危険性をリアルに描く一冊である。
「推し」とは、気に入って応援している人やキャラクターなどの対象を指す。そして、その「推し」を応援し、楽しむ行為全般を「推し活」と言う。それらの言葉は私生活を彩る趣味として、ポジティブなニュアンスで受け入れられることが多い。
一方「推し活」は過剰な出費を伴ったり、精神に悪影響を及ぼしたりするケースも少なくない。「推し」との距離を近づけ、より長く時間を過ごすために数百万単位の出費をいとわない人。その費用を捻出するために、良からぬ手段を取ってしまう人。ときに、痛ましい事件も起こる。ファンから多額の投げ銭を受け取っていたライブ配信者が、配信中に刺殺された事件はまだ記憶に新しい。