
自分の子どもがいじめをしていたら、あなたはどう向き合うだろうか。
『娘がいじめをしていました』(しろやぎ秋吾/KADOKAWA)は、いじめの加害者となった娘を持つ母と、被害者となった娘を持つ母、それぞれの視点から「正解の出ない苦しみ」を描き出している。
中学時代にいじめ被害の経験を持つ母・加奈子は、小学5年生の娘・愛が同級生の小春をいじめていたと知る。家族で謝罪に向かい、その場では受け入れてもらえたものの、小春はその後、不登校になってしまう。加奈子は、娘への不信感と嫌悪感を募らせながらも、寄り添わなければならないという思いに心を引き裂かれる。小春の母・千春もまた、被害者の母としての怒りや焦り、娘のために何をするべきかわからない苦しさを抱える。こうして、ふたつの家族はさまざまな問題に翻弄されていく……。
愛が最初にいじめの事実を笑顔でごまかす場面は印象的だ。「いつもの娘の顔」でやり過ごそうとするその態度は、親としては決して気持ちのいいものではないだろう。加奈子は自身がいじめられた経験を持つからこそ、娘の行為を簡単に受け入れたり、許したりすることができない。感情に任せて娘を怒鳴りつけてしまうシーンでは、理性と感情、母としての責任と個人的な傷がぶつかり合う様子が胸に刺さる。