ダ・ヴィンチWeb


『夫がいても誰かを好きになっていいですか? コンビニで見つけた私の恋』(ただっち/KADOKAWA)は、「不倫」という一言では決して片づけられない、既婚女性の心の揺らぎを切実に描いた作品だ。


舞台はコンビニ。あまりにも日常的で、誰にとっても身近な場所で始まる出会いは、だからこそ強い現実味を帯び、読み手の心にすっと入り込んでくる。何気ない会話や、ふと交わされる視線。その小さな積み重ねが、気づけば“非日常”へと変わっていく過程に、否応なくドキドキさせられる。


主人公のナツは、子どもを望みながらも夫婦関係はレスとなり、年齢的な焦りと孤独を抱えている女性だ。不倫は決して肯定されるものではない。けれど本作は、善悪のジャッジを押しつけるのではなく、「彼女がなぜ心を奪われてしまったのか」を丁寧に描いていく。その視線があるからこそ、読者は葛藤しながらも、主人公の選択を頭ごなしに否定できなくなる。


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