
『とるだけ育休の夫はいらない』(リアコミ:原作、しろいぬしろ:漫画/KADOKAWA)は、「育休を取る」という行為が必ずしも家庭の助けにはならないという悲しい現実を描いた作品である。
「俺、育休とるよ。梨香子を支えたい」第二子出産後、産後うつ寸前まで追い詰められた妻の梨香子に、夫の弘明がそんな言葉をかけた様子は、一見すると理想の夫婦だ。しかし、実際に始まった育休生活で弘明がしているのは、家事でも育児でもなく、スマホをいじり、食べて寝て、ただ長期休暇を満喫することだけだった。さらに、子どもを危険にさらすような行動を取る弘明に、梨香子は次第に不満を募らせる。
弘明は「育休を取った自分」を、家族のために「やるべきことをやった男」として強く自認している。しかし実際に家庭内で起きているのは梨香子の負担が一層重くなっているという悲しい現実だ。夫の育休は制度的には一般化しつつある一方で、家庭内でそれが十分に生かされているのかということを問いかける。