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『君のためなら生きてもいいかな ハムスターのうにさんと私』(松村生活/KADOKAWA)は、うつ病という重いテーマを扱いながらも、不思議とページをめくる手が止まらなくなる一冊だ。


作者の松村生活さんは、うつ病、線維筋痛症、メニエール病など、複数の病を抱え、休職を余儀なくされていた漫画家だ。「ペットを飼えば、生きる理由になるかな?」──そんな切実な思いから始まったのが、ハムスターの「うにさん」との生活だった。


本作が印象的なのは、うつ病の描写が過剰に暗くなりすぎていない点にある。無気力で何もできない日々、外に出ることすらつらい感覚、そして生活そのものが重くのしかかる感覚。そうしたうつ病の症状が、淡々と、しかし誤魔化さず描かれている。「苦しさ」を正面から描きつつも、決して読者を暗闇に突き落とさないのだ。だからこそ、読者は「わかる」と静かに頷いてしまう。


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