
時代が移り変わるにつれて、お金や物の価値は大きく変化する。社会情勢の変化により、商売の形も手段も見る間に更新されていくのが世の常だ。しかし、強いて言えば、商売人の本質だけは変わらないのかもしれない。彼らに求められるのは利益を追うことだけでなく、人の欲求や不安を汲み取り、必要とされる価値を見極めて差し出す姿勢なのだ。
『大江戸イノベーション』(樋田よしなり:著、山村竜也:監修/KADOKAWA)は、そんな商売の普遍性を改めて実感させてくれる物語である。
とあるベンチャー企業の若手社長・榊は、階段から落ちた拍子に、激動の江戸末期へタイムスリップしてしまう。右も左も分からぬ中、さっそく争いに巻き込まれたことをきっかけに出会ったのは、潰れかけの茶屋をひとりで切り盛りする娘・なぎ。行き場を失った榊は、成り行きで彼女のもとに居候することに。