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半島を出よ 上 村上龍 / 幻冬舎


村上龍は脱皮する作家である。


僕が運営するYouTubeチャンネル『斉藤紳士の笑いと文学』の中でも紹介したことがあるが、村上龍ほど変化を続けた作家も珍しいだろう。


デビュー作からは徹底してセックスとドラッグを描き、そのエネルギーは破壊衝動や音楽、スポーツへと変化していった。一貫したテーマとして横たわっていた「戦争の影」はいつしか本物の「戦闘」を描写することに移り変わり、そこに経済という要因が加わり、多くの名作を作りあげることとなった。変化のたびに脱皮を繰り返し、「この路線でこれ以上のものは書けない」と本人が語るほど、ある種の到達点に届いたその作品が『半島を出よ』(幻冬舎)である。


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物語の舞台は2011年の日本。発表されたのが2005年なので、近未来を描いたSF小説である。


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