
『あ、安部礼司です。』(青木U平:著、「NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~」:企画・原案/主婦と生活社)の主人公・安部礼司は、ごく平凡なサラリーマンだ。特別な能力があるわけでも、劇的な成功を収めるわけでもない。そんな主人公の平凡な物語なのだが、なぜかページをめくる手が止まらなくなる1冊だ。
本作は、大人気長寿ラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』のコミカライズ作品であり、昭和生まれの“平均的”なサラリーマンである安部が、平成、令和と時代を超えて生き抜いていく姿が描かれる。安部は、「どうでもいいこと」をやたらと真剣に考えてしまう人物だ。会議中の微妙な空気、上司の何気ない一言、仕事と家庭のバランス。どれも社会人なら一度は経験したことのある出来事ばかりだが、誠実な彼はそれらを真正面から受け止め、頭の中で延々と考え続ける。安部の内面モノローグとテンポの良い会話によって、日常の一コマ一コマが生き生きと立ち上がってくる。その「あるある」の積み重ねが、共感と笑いを同時に生み出している。