
ネオンの光が煌めく欲望の街・歌舞伎町。多種多様な人々が入り乱れ、夜通し明かりが消えることのない街。ここで朝を迎えるとき、自分ならどんなものが食べたいだろうと考える。
さまざまな選択肢が頭の中に思い浮かぶなか、漫画『29時の朝ごはん~味噌汁屋あさげ~』(佐倉イサミ/KADOKAWA)を読んだあとは、素朴で温かい味噌汁の温もりを欲している自分に気づく。
物語の舞台となるのは、眠らない街と呼ばれている歌舞伎町の片隅で、朝の5時半に開く小さな定食屋「あさげ」。メニューは日替わりの味噌汁と握り飯のみにもかかわらず、若い姉妹が作る味噌汁の美味しそうな匂いに誘われて、安寧を求める人々が次々と店を訪れる。
田舎から上京してきた新人ホスト、オフモード全開のキャバ嬢、修羅場のカップルなど、お店の客層はふつうの街とは少し異なる。そもそも「あさげ」の外観自体も、きらびやかな歌舞伎町にはミスマッチなほどに飾り気がない。