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  • せかいは すきで あふれてる 大森裕子 / KADOKAWA


    小さな頃、長靴で歩きながら、水たまりでバシャバシャと楽しそうに遊んでいた我が子。ところが、小学生になってからしばらく経つと、あんなに輝いていた雨の日がどんよりと沈んで見える――そんな時が、突然やってくるようです。



    大森裕子さんが描く新作絵本『せかいは すきで あふれてる』(KADOKAWA)の主人公もそう。主人公の男の子は、学校の教室で、外を眺めています。窓の外では、雨がザーザー。そんな風景を見ながら心の中で漏れたのは、「やなてんきだな」「さいきん、さいあく。きょうの てんきみたいな きもちが ずっと つづいてる」というつぶやきでした。


    教室の前のほうで先生が宿題を出している中、彼ひとりだけが“心ここに在らず”といった様子。「ここでは やらなきゃいけないこと ばっか。きらいなきもちが あふれてきて、なにもかもが いやになっちゃうんだ」と考える彼は、自分が自由じゃないことを嘆きます。教室の風景にはぐにゃぐにゃとした曲線が縦横無尽に描かれ、何もかもがイヤになっている彼の心模様を表しているようです。


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