ダ・ヴィンチWeb


1月27日、銀座・歌舞伎座タワーにて、「月イチ立ち読み読書の会」が開催された。本イベントは、ダ・ヴィンチWeb編集部がセレクトした作品を、参加者全員で会場にて「立ち読み」し、感想を語り合う読書会。


今回取り上げられた作品は、ピンク地底人3号さんの『カンザキさん』。集英社から1月7日に発売された小説だ。


物語の舞台は、離職者が続出する“超絶ブラック”な配送会社。「僕」ことノミは、大学卒業後、引きこもりを経てそこで働くことになる。その会社には、誰にでも優しい人格者のミドリカワさんと、人を罵り、蹴りを入れる悪魔のようなカンザキさんという先輩がいた。


同期が次々にカンザキさんの毒牙にかかる中、「僕」もカンザキさんと組まされることになる。暴力と不条理の果てに見える、戦慄の光景を描いた小説だ。


本作の担当編集者である集英社の富崎裕子さんを会場に迎え、さらに、オンラインで著者のピンク地底人3号さん(以下、3号さん)にご登壇いただいたイベントの模様をレポートする。


担当編集者が語る『カンザキさん』誕生の経緯


読書会が始まり、編集者の富崎さんからご挨拶をいただいた後、早速40分間の「立ち読み読書タイム」がスタート。



参加者が思い思いのペースで読み進め、あっという間に時間が過ぎていく。「続きを早く読みたい」という気持ちを共有しながら、富崎さんへの質疑応答タイムに入った。


まず、司会者から「本作の初稿を3号さんからもらったときに、率直にどのような感情、感想を抱いたのか」という質問。富崎さんは「本当に100枚以上書いてきたな、と思いました」と答え、本作の制作前のやり取りについて明かした。


「最初エッセイを書いていただいて、それが非常に良かったので、『小説を書きたくなったら私に声をかけてください』とお伝えしまして。そうしたら『書きます』とのことで、ご自分で締め切りを2カ月と決めてくださいました。編集者をやっていると、よく『小説書きたいんです』と、声をかけていただくんですけど、400字詰め原稿用紙で100枚、4万字以上書ける方ってそんなにいないんです。小説を書くのって、本当にすごいことなんですよ。誰にでもできることではない。だからこそ『本当に書いてきたな』と思いましたね」(富崎さん)


編集者に作品の詳細をあらかじめ言う人、設計図のような形で話す人、「話すと流れてしまうから」とあまり話さない人など、様々なタイプの作家がいる中で、3号さんは、作品の詳しい内容についてはあまり語らなかったという。


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