
『ずっと一緒にいられたら』(小菊えりか/KADOKAWA)は、「長く一緒にいること」の先にある、夫婦の静かなすれ違いと、そこから生まれる思いやりを描いた作品だ。
頑固で不器用、そして自分の気持ちを言葉にするのが苦手な誠一。対する光子は、優しく穏やかで、家族を大切に思う女性。長年連れ添ってきたからこそ、互いの性格や考え方を“わかっているつもり”になっている二人だが、その安心感が、気持ちを伝えなくなる理由にもなってしまっている。その結果、何気ない日常の中に、小さなすれ違いが生まれていく。
本作を読んで感じるのは、「わかり合っている」と思うことと、「伝え合っている」ことは、決して同じではないということだ。長年一緒にいるからこそ、言葉を省いてしまう。悪気はなくても、その積み重ねが、相手の心を少しずつ遠ざけてしまうのだと、静かに教えられる。