
諸君、初音ミクをご存じだろうか。
毎日新曲を出す世界的バーチャルシンガーとなった彼女だが、私は黎明期より盛り上がるハツネミク・ムーヴメントをたいぶ近くで観測してきた。
その体験のせいで手放しに「初音ミク、大好き!」とは決して言えない。
あの頃を思い出すといつもつらい気持ちになる。
憧れ、嫉妬、恨み、後悔、そして音楽へ注いだ情熱と惜しみない愛。
あなたを想えば胸が張り裂けそうに苦しいの。
これが、狭心症──。
初音ミクを駆使して承認欲求と自己顕示欲を満たそうとする試みを、何度も繰り返す社会的落伍者を総じて「ボカロP」と呼称する。
ヤクザではなく暴力団、暴走族ではなく珍走団、作曲家ではなくボカロP。
敢えて珍妙な呼び名にすることで、憧れを抱く者を少しでも減らす意図がある。
そして自分も、ボカロPとして数年に渡り活動してきた。