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中野京子と読み解く カラヴァッジョと惨劇のローマ 中野京子/文藝春秋


『中野京子と読み解く カラヴァッジョと惨劇のローマ』(中野京子/文藝春秋)は、画家・カラヴァッジョの人生と作品に迫る一冊だ。当時の社会背景や風習などを踏まえながら、そこで描かれた作品群を追っていく。知識欲と芸術的感性、双方を刺激される内容である。


カラヴァッジョはイタリアのバロック期を代表する画家の一人だ。光と影の劇的な対比によって人物や物体を浮かび上がらせる画風が特徴で、宗教画にも庶民をモデルに起用し、人間の生々しさを描きこんだ。


本書は、そんなカラヴァッジョの幼少期から死に至るまでをひもとく。幼い頃にペストが大流行し、立て続けに家族を失ったこと。おそらくローマでは公開処刑を目にする機会もあったであろうこと。そういった死に近しい原体験が、作品に描かれる生々しい血の描写や、理想だけでなく現実を直視させるような表現にも通じるのではないか。本書はカラヴァッジョの人生を丹念に追いながら、そうした考察を重ねていく。


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