ダ・ヴィンチWeb

『薫る花は凛と咲く』 (三香見サカ/講談社)


引用----


窓の向こう側にはカーテンの閉まった校舎


お互いに近くて遠い存在


だが彼らは歩み寄る


自分の意思で。


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青春ラブストーリー『薫る花は凛と咲く』(三香見サカ/講談社)は、2025年に名実ともに大ブレイクした。7月からTVアニメが放映開始、12月時点での累計発行部数は1000万部を突破している


主人公・紬凛太郎(つむぎりんたろう)は、実家のケーキ屋の常連という和栗薫子(わぐりかおるこ)と出会う。凛太郎になぜか明らかな好意をみせる薫子。尊い関係のはじまり。だが、薫子は凛太郎が通う千鳥高校に隣接する桔梗女子の生徒であった。底辺男子校の千鳥と、お嬢様が集う桔梗女子は対照的な存在。桔梗の生徒は徹底して千鳥を蔑み、敵視していた。凛太郎と薫子が仲良くすることは許されない……。


シリアスで不穏さを感じるかもしれない。ただ、身構えた方は安心してほしい。ネタバレではないが、彼らの物語は輝きに満ちたものだ。


■彼女のまなざしの光が彼を変える。


桔梗学園女子高等学校の女生徒たちは、都立千鳥高校の生徒へ常に敵意を向けている。それが日常であり、凛太郎は友人たち以上にその空気を受け入れていた。凛太郎はもともと物静かな少年だ。誰かに怒りをぶつけることはなく、他人からどう思われるかを気にして自分のことは積極的には語らない。金髪にピアス、背が高くて強面な見た目のせいで、どうしても目立ってしまい、怖がられることも多かった。凛太郎はそうした扱いにも慣れていて、自己肯定感も高くはなかった。


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