
「死にたい」と思ってしまうことを、生きるための問いかけに変える――。『死にたがりやさんの明日生きるため日記』(加藤かと/オーバーラップ)は、「希死念慮」を抱える女性が、日々「小さな美しさ」を見つけながら生をつないでいく姿を描いたコミックエッセイだ。
主人公は40歳の漫画家・日向ニジコ。母親からの心ない言葉や、初恋の人の自死がきっかけとなり、彼女の心は長くバランスを崩していた。結婚し、ふたりの子どもを育てる日常の中でさえ「子どもの巣立ちを見送ったあとで死にたい」と思ってしまうこともあるという彼女は、その日に見た美しいものをひとつずつ丁寧に日記として描き、なんとか「明日」を生きようとする。
本作の特徴は、死にたい気持ちそのものを正面から受け止めながらも、そこに寄り添い、希望を探すプロセスを誠実に描いている点だ。「希死念慮」という深刻なテーマは、一般には理解されにくく、しかもタブー視されがちだ。ニジコが気分の波や過去のトラウマと向き合いながら、心にある「希死念慮」が肥大することを必死に御していく姿を描くことで、読み手に「死の身近さと、生きることの感触」をそっと伝えてくれる。