
『1ページ先、奇妙を右方向です。 勝見ふうたろー作品集』(勝見ふうたろー/KADOKAWA)は、「ほんのわずかなズレ」から始まる奇妙な世界を詰め込んだ短編集だ。日常に潜む違和感をSF的手法で切り取り、読者の常識を静かに揺さぶってくる。SNSで話題になった『きまぐれな水』をはじめ、現実と虚構の境界のほころびを鋭く描き出す本作は、人間の感覚や認識そのものを根底から問い直す問題作だ。
なかでも象徴的な一編が『天地海人の葬告』だ。天才小説家・天地海人が死去し、担当編集者の平井が葬儀の喪主を務めることになる。天地の遺品として残された手紙には「棺の蓋は開けず、誰にも見られずに荼毘に付されることを望む」という不可解な一節が記されていた。彼はなぜ、このような遺言を残したのか。