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『僕はお父さんが好きじゃない』(まるたおかめ/KADOKAWA)は、父親との距離に悩む少年の視点から、家族のすれ違いを描いた物語だ。


物語は「僕はお父さんが好きじゃない」という言葉から始まる。主人公のなつは小さな頃から、父親のさとると遊んだ記憶がほとんどない。子どもにとって父親とは頼りになる存在のはずだが、さとるは違う。父親は自分のしたいことや趣味を優先し、子どもに遊びをせがまれるとクローゼットに隠れてやり過ごそうとする。なつが勇気を出して手を繋ごうとしても拒まれ、スマホばかり見ている。そんな父親の姿を見て、なつは「お父さんも僕のことが嫌いなんだ」と考え、次第に心を閉ざしていく。


母親のはるこは、そんな夫と息子の間で板挟みになりながらも、息子を見守り続ける。彼女の視点からは、かつては優しかった夫が、妊娠や出産をきっかけに少しずつ変わっていく様子が描かれる。毎晩遅くに酔って帰るようになった夫を注意すると「仕事をしているんだから感謝しろ」と横暴な態度を見せ、夫婦の間にも溝が広がっていく。


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