ダ・ヴィンチWeb
  • 『日に流れて橋に行く』1巻   (日高ショーコ / 集英社)


    『日に流れて橋に行く』 12巻  (日高ショーコ / 集英社)


    江戸時代中期に活躍した版元で“江戸のメディア王”とも呼ばれた蔦屋重三郎を主人公に描かれた大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』。そのシナリオライター・森下佳子が今、愛読しているのがマンガ『日に流れて橋に行く』(集英社)だと言う。明治時代の経営難に陥っている呉服店を主人公・虎三郎が立て直していく物語だ。著者・日高ショーコと森下佳子の対談が実現! 江戸と明治、時代は違えど人が売り物を手にできる商店が描かれていること、店が東京・日本橋にあることなど、作品の共通点を軸に語っていただきました。


    ――『日に流れて橋に行く』は明治時代の呉服店をテーマに描かれていますが、呉服店に魅力を感じたキッカケは何でしたか?


    日高ショーコさん(以下、日高):2014年に、森鷗外記念館で開催していた特別展『流行をつくる-三越と鷗外-』をみたのがキッカケでした。そこで購入した図録に収録されていた、森鷗外の短編小説『流行』が面白くて。“僕が身につけたものは全て流行になる。だから全ての店が商品を持ってくる”という描写に“いいな”と思って。“作られる流行”の是非も書かれていて、これが三越の広報誌に掲載されていたというのもすごいなと。“経営難の呉服店と支えるお金持ちの人が出てくる話にしよう”からお話作りはスタートしていきました。


    森下佳子さん(以下、森下):そうだったんですね。それで呉服店が舞台に!


    日高:はい。当初は三越をそのままモデルにしようかとも思ったのですが、三越の歴史は有名すぎますし、リアルタイムで存在しているお店なので難しいかな…ということで、架空の呉服店にしました。架空のお店なら、自分たちの好き勝手にすることもできるので(笑)。それに当時のことを調べていくと、実際に消えた呉服店は多くあります。さまざまなお店が淘汰されてきた中で、今残っているお店があるというか。じゃあその生き残りレースの中で、一度抜けた店があってもいいかという結論に至って、呉服店・三つ星を作っていきました。


  • 続きを読む