
物価がとめどなく上がっている。外食を控える人も少なくないかもしれない。確かに、コスパを考えたら自炊に勝るものはないし、徒歩圏内のスーパーやコンビニにも、インスタントで美味しい商品が常にあふれている。
そんなふうに食欲が大人しく飼い慣らされた今だからこそ読んでほしいのが、世界中の高級料理を食べ尽くした村上龍自身の体験をもとにした(と思われる)32篇の掌編集『村上龍料理小説集』(講談社)だ。

「心がさわぎ、秘密が生まれ、罪の意識を迫るような、贅沢で、エロティックな32皿の物語」とあらすじにあるように、フィクションではありつつ、村上龍自身の体験を語ったような生々しい手触りを楽しむことができる作品集である。