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はみだしみゆきさんの漫画『屋台ヤケミルク』では、赤ちゃんたちが集う屋台を舞台に微笑ましい交流が繰り広げられている。実はこの屋台、予約も受け付けており、時には意外な場所から電話がかかってくることも……。


ある日、「屋台ヤケミルク」にかかってきた1本の電話。相手は双子の赤ちゃんのひとりで、なんとママのお腹の中からの連絡だった。出産を1カ月後に控え、早くも屋台デビューを心待ちにしているらしい。産まれる前から評判を知っているとは、なかなかの情報通である。


それから数日後、再び双子から電話がかかってきた。出産を目前にした双子は、ママに「ジャマだって思われたら…」、外に出て「息ができなかったら…」など、不安で胸がいっぱいになってしまったようだ。


そんな気持ちにも「みんな君たちのこと待ってるよ」と、先輩赤ちゃんの大将はそっと寄り添う。その言葉に背中を押された双子は無事に誕生し、約束通り2人揃って来店を果たした。来て早々、「姉ちゃんばっかり」「妹ちゃんばっかり」と日頃のうっ憤を口にする双子だが、そこはさすが大将。同時に2人分のミルクを用意し、どちらもきちんと主役にしてくれる。その心配りこそ、「屋台ヤケミルク」の真骨頂なのだろう。


残念ながらこの屋台に大人は立ち入れないが、ミルクを片手に和気あいあいと語り合う赤ちゃんたちの姿は、見ているだけで頬が緩む。読んでいるこちらまでやさしい気持ちにさせてくれる作品だ。


文=ハララ書房


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