
人生を変えるような料理と出会いたいと願うなら、作家・小川糸による最新エッセイ集『食堂巡礼』(白泉社)の一読をおすすめしたい。沖縄、佐渡、長野、山形など、作者が気になっていたお店を巡ること、8県20か所。「つくる人の人生を感じる、とっておきの料理に会いに」というテーマにふさわしく、つくり手の人生が透けて見えるような料理が続々と登場する。
遠方から訪れる人も多い沖縄『胃袋』のシチュウ

まず紹介したいのは、沖縄の『胃袋』のシチュウだ。店主である関根麻子さんの料理を食べるために、遠方から訪れる人も多いという。メニューはおまかせで、料理名はない。料理の調味料はほとんど塩のみで、スパイスは多用せず、素材が持つ本来の味を誠実に引き出しているという。
「麻子さん(店主)は、そこにあるもので料理を作ろうとする」と作者は語る。沖縄には扱いづらいとされる植物や物もあるが、そういう食材にこそ魅力があり、むしろそっちの方が調理するのが面白いのだと、店主・麻子さんは語ったそうだ。