
物を書くという行為は、こんなにも烈しく、こんなにも逃れられないものなのか――。
詩人として、作家として、多くの読者に愛されてきたほしおさなえ氏。「銀河ホテルの居候」「言葉の園のお菓子番」など数々のシリーズで知られ、2025年でデビュー30周年を迎えた。言葉を紡ぐこと、物語を創作することに誠実に付きあい続けてきた作家が、本作『ある小説家の死からはじまる物語』(中央公論新社)では自身の歩みを透かすように「書くこと」の楽しさと苦悩、そしてその意味を問いかける。
物語は、ある作家の死からはじまる。
大学で創作ゼミを担当していた小説家・時任晶子は、闘病の末に60歳で亡くなる。ファンタジー小説界で活躍し、代表作「雨使い」シリーズはアニメ化もされた人気作だ。近年は一般文芸へと軸足を移し、病床でも筆を止めず、連載中に他界。遺作『木蓮の家』は死後刊行され、大きな話題を呼ぶ。