ダ・ヴィンチWeb


旅先で食べた一皿を思い出すと、その土地の風や音までよみがえることがあります。


見た景色、聞いた言葉、漂う音楽——それらが食べ物と溶け合い、心の中でひとつの風景を描き出す。食べることと旅することのあいだにある、やわらかな時間。そんな「味の記憶」から始まる小さな旅をつづったエッセイです。


■#4 ニュージーランドの星空の下で飲む、ホットチョコレート


ニュージーランド2日目。6時に起床。寒くて布団でぬくぬくモゾモゾして、意を決して起きる。投資家の田中渓さんはもう起きて25キロ走り終えていると思うとうんざりした。


寒い。さっと着替えて外に出ると、もう外は明るくなっていて湖が美しかった。準備運動して走り出すと、冷たい空気がとても美味しい。山にはほんのり朝日が当たっていて、これからくる朝日の予感がした。白い霧も美しい。


少し走るとキャンプをしていた二人組が荷造りをしていて、挨拶する。7kmくらい走ったところで山の影から朝日が昇ってきた。起きてよかったと思ったら、「あーーーーー」というなんとも言えない声が出た。毎日行われている自然の営みをただ、今日私がニュージーランドに来て見ているだけ。ただそれだけで、この営みは日々行われているのだと思うと涙が出そうだ。


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