仕事はできるのに恋愛スキルは高校生以下。そんなふたりが「先に落とした方が勝ち」という最高に頭の悪い恋愛勝負を始めたら……?
末広マチさんのBLコミック『フェイクファクトリップス』(竹書房)が、このたび堀海登さん&佐藤友祐さんダブル主演でドラマ化されることに! 本作が生まれた経緯や見どころ、末広さんの創作術など、たっぷり語っていただいた。

どんなに頭のいい人でも、恋愛すると知能が猿並みに?
──このたびドラマ化される『フェイクファクトリップス』は、2021年に刊行され、続編『フェイクファクトリップス break』(竹書房)と合わせてシリーズ累計45万部を突破した人気作です。この作品が誕生したきっかけを教えてください。
末広マチさん(以下、末広):普段から映画を観たり、友達と会話したりする中で気になったワードをメモしておいて、それをヒントに新しいマンガを考えることが多いんです。ある時、テレビでメンタリストDaiGoさんが「どんなに頭のいい人でも恋愛するとIQが猿並みになる」と話していて。その瞬間、「これでBLマンガを描いたら面白いかも」と思い、メモしておきました。新連載が始まるタイミングでそれを思い出して、『フェイクファクトリップス』が生まれました。
──そこから「エリート営業マンの恋愛バトル」というテーマになったのは、どういう経緯があったのでしょうか。
末広:まずは≪恋愛するとIQが下がる≫をテーマに高校生・大学生・社会人それぞれのバージョンでプロットを作ってみたんです。その中で一番しっくりきたのが社会人でした。高校生や大学生だと、多少バカなことをしていても「まあ、そういうものかな」と思ってしまいますよね。
なので、普段はしっかり働いている大人が恋愛で一気に崩れるほうがIQが下がるというのがわかりやすいしギャップが大きくて面白くなりそうだなと思いました。
お互いプライドの高い大人同士の恋愛となると、お互い素直になれない。そこからライバルという設定が膨らみ、ケンカップル(いつも喧嘩ばかりしているカップル)の恋愛バトルになりました。

──それで現在の形になったんですね。主人公にあたる四ツ谷良(よつやりょう)と志藤全(しとうぜん)は、高校時代から因縁のライバルとして競い合い、同じ職場で再会してからも、営業成績を競い合っています。このふたりの関係性や性格設定は、どのように決めていったのでしょうか。
末広:対照的なふたりにすることは、最初から決めていました。受けの志藤全は、エリートでプライドが高そうな人物がいいなと思って、まず彼の人物像から考えました。攻めの四ツ谷良は、全と同じくプライドは高いのですが、性格は正反対にして対になるようにしています。
対比を強くしたほうが、お互いにないものを補い合う関係になって、恋愛に発展しやすいんですよね。共通点はあるけれど、それぞれに足りない部分を相手が持っているから惹かれ合う。そんな関係性が好きなんです。
──末広さんからご覧になって、このふたりはどんなところに魅力があると思いますか?
末広:良は他人から見るとかっこいいのに、好きな人の前ではかっこ悪くなってしまうところがすごくかわいいですね。私自身、そういう人間味に魅力を感じるので。
全はプライドが高いけれど、相手の前だけは素の自分になってしまう素直さがあります。ツンデレではありますが、ツンとしてしまうのも素直になれない反動。そういうギャップがかわいらしさにつながっているように思います。